時実新子作品集

      これは、1996年8月「月刊川柳大学別冊」時実新子の世界に掲載された「時実新子自選百句」を転載したものです。

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  • ももいろの猫抱きこれからがおぼお 月を四角と言い張る涙こぼしつつ ぞんぶんに人を泣かしめ粥うまし ゆっくりと朝日が昇る死者の足 北風よ獅子の目尻にたまる水 この子九ツまだまだ死ねぬまだ死ねぬ みつめればただ音もなく降っている 平成七年一月十七日裂ける 何の音あれは私が死んだ音 うららかな死よその節はありがとう